君と描く花言葉。
もし、成宮くんがニゲラを描いたら、どんな絵になるんだろう?
……きっとあのニゲラとは、全く違う絵になるんだろうな。
生命力に溢れたニゲラの絵を描く成宮くんが、簡単に想像できてしまう。
……嫌だなあ。
ニゲラは、そんなんじゃないもん。
私のニゲラは、いつまで経っても、きっとあのニゲラだ。
寂しそうで、誰かに見つけてもらいたくて、めいっぱいにその存在を主張しているあの姿。
……どこか、私に重なる気がして。
成宮くんには描いて欲しくない、と勝手なことを思う。
「うわ、成宮、やっぱすげー!
おい、見てみろよ!」
「セイジくんって本当、なんでそんな絵描けるの!?」
先生から離れた私に、美術室の奥の方からそんな声が届く。
成宮くんは人気者だ。
その手から生み出されるものが、みんなの心を惹きつけていて。
私なんか、到底及ばない。
普段は友達の絵なんてものを手放しで称賛したりはしない美術部の人々が、成宮くんの絵となると途端にもてはやし始める。
「やば!相変わらずの『in成宮ワールド』!」
「お前の世界どうなってんだよー!
なんでそんな色になるんだ!?」
「………」
騒ぎ立てるみんなの後ろから、そっと成宮くんの今描いている絵を覗き見る。