君と描く花言葉。






シャッッ!!





勢いよくカーテンが開き、薄暗かった廊下に光が差し込む。


その場は一気に明るくなって、2人の色違いのアマリリスが光の中で向かい合っているのが綺麗に見えた。


元々は真っ赤な、けれども今は黄色とピンクの、2つのアマリリス。


隣に並んだそれは、まるで生きているかのように輝いていた。



温室に差し込む光もそうだけれど、セイジの家の周りの光はなんでこんなに幻想的なんだろう!


セイジのアマリリスと並べることを想定して、あえて私も一本だけを描いたけれど、描き終わった瞬間よりも並べた今の方がどちらも100倍生き生きして見えた。



「あは。おしゃべりしてる。アマリリスだよ!」


「うん。……2人の世界だ。
ずっと、夢だった。誰かの世界を見るのが」




光に照らされたセイジの横顔は、まるで花のように綻んでいる。


私のアマリリスは、セイジのみたいに本物が中にあるように見えるわけでもなければ、塗り重ねも甘くてまだまだ完璧とは程遠いものだけど。



それでも、輝いて見えた。



セイジのその顔を見れただけで、描いてよかったって思えた。


セイジのと比べても、劣等感は感じなかった。



これは私の世界。


そして隣のは、セイジの世界だ。



それだけでいい。


必ずしも上手くある必要はないんだよね。



自分が満足出来て……セイジの心を動かせたなら、それで十分なんだ。



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