カウントダウン~君にもう一度、初恋~
エレベーターを降りて休憩室までやってきた。
この会社は情報漏洩を防ぐために
電話をかけられる部屋が限られている。
仕事の電話とかなら
固定電話に切り替えておけばいいんだけど
私用の電話なら特に
決められた場所じゃないといけない。
守ってる人は少ないけど
上の人にバレたら大変らしい。
「もしもし愛莉奈。ちょっと聞きたいんだけど。」
『...久?
平日のしかも夕方にかけてくるなんて
仕事中じゃないの?
何の用?』
「あー、うん。
56-69-76-72-65って知ってる?」
『え、なに?
なんて言った?』
「あ、えっと...
56..69.76..72...65...っていうやつ、知らない?」
『うーん...なにそれ?
なんか怪しい集団に絡まれた?』
「そうじゃなくてさ、家に届いたんだよ。
そういう名前の薬?みたいなものが。」
『ふーん。
それどんな薬なの?』
「わかんない。
愛莉奈なら知ってるかなと思ってかけた。」
『いや、知らない。
...悪いけど今作業中だから切るね。
データベースでも見てみればいいんじゃないかな。
じゃあね。』
ブチッ
「あっ、切られた...」
作業中なら仕方ないか...
当てがなくなったなぁ。
あの薬は使わないようにしよう。
少なくとも素性がわからないままじゃ危ない。
「あっ!
暇そ〜な人発見!」
「部長、どうかされましたか?」
「うん、どうかしたよ。
打ちミスあったから直しといて貰えるかな?」
「あっ、すみませんすぐ直します!」
「そうしてもらえると助かる〜。
本人、外行っちゃったみたいだからさ〜。
よろしく!」
「あ、はい...」
なんだよ...
俺がやったやつじゃなかったのか...
本人にやらせないってことは
直ぐに要るってことだろうし
ピコンッ
「ん?...悠斗からか。」
もう終業時間だし、返すのは仕事終わりでいいや。
どうせ世間話だろう。
それより早く資料直さないと...