カウントダウン~君にもう一度、初恋~








パーティ会場の熱気から駐車場の冷気まで

逃げてこれた...








ユリの騒がしさと靴音が響くほどの

静けさとの差がひどくて


ちょっと耳がおかしくなってくる...






「はぁ、疲れた...」







ため息は暗い無機質な空間に溶け込んでいった...







「こらっ!勝手に抜け出してなにやってるの!!」


「うわっ!!」









「フフッ...お疲れ様。

ヒサってば相変わらず溜め込む性格だよねぇ。」










高い靴の音を響かせながら

親友のもう一人が悪びれる様子も無く

柱の陰から現れた。





「愛莉奈...いったいいつからそこに?」


俺が車を持ってないのは知ってるだろうから

駐車場に来ることはないと思うんだが...




「んー?...まぁ、いいじゃないそんなこと。

帰るんでしょ?乗せてってあげるよ。」





...俺の行動ってそんなに読みやすいだろうか?



親友たちには俺の考えていることが

お見通しみたいだ。





「いや、大丈夫。ここ地下鉄直結してるから。」







「...ごめん、乗って?













話したいことがあるの。」








話したいこと...?







...悠斗のことかな。




「分かった。



お言葉に甘えて、よろしく。」





「まかせて、ちゃんと家まで送るよ。」







その点は心配してない。





愛莉奈の運転する車にはいつ乗っても

安心して寝られる。









「あ、後ろじゃなくて助手席に乗って。



話すことがあるんだから。」





「ごめんごめん。つい癖で。」





「...絶対悪いと思ってないわよね。



ま、そんなとこも『らしい』けど。」





普段俺が車に乗るときに助手席に座るのは悠斗だから


前に座るのは悪いかなって思っただけなんだけど...





...これは脈ないのかなぁ。





「ほら、出発するよ。



シートベルとして。」




「そっか。前だと絞めないといけないのか...」








「後ろも絞めるものなのよ。




ヒサがいつも寝てるからそう思うだけ。」


「なるほどー。」










静かなエンジン音とともに

軽く内臓を引かれる感覚が来て

脳が意識を手放そうとする。












「こら!寝るな!」





「...はい。」





眠気と闘いながら地上へ抜ける坂道へと向かった。




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