初めてのフライト。
初めてのフライト。

私は、空港のグランドスタッフとして
働いて何年か経つ。

今日は、年下の恋人である
幸弘が初めて副操縦士として飛び立つ日がきた。

初めてのフライト。
朝からずっと肩に力が入っていて
見ていられない。

「幸弘。本当に大丈夫?
ガチガチじゃない」

「だ、大丈夫。
体調管理もバッチリだし、何度も練習した。
機長は、青木先輩だし…心配いらない」

そう言う幸弘だったが
見ても分かるぐらいにガチガチになっていた。

いやいや、どう見ても心配だわ。

ずっと夢を見てきた
パイロットになれるのだと喜んでいた彼。
私は、そんな彼の夢をずっと支えてきた。

ここは、年上の私から
何か言って励ました方がいいのかしら?

「幸弘。よく聞いて。
とにかく何かやる時は、深呼吸してからやりなさい。
機長の青木さんの指示は、
絶対に従うこと。
無茶な運転と自己判断だけは、したらダメよ!」

「分かった。肝に命じておくよ」

本当に分かっているのかしら?

何だか私まで緊張してしまう。
すると私の手をギュッと握ってくる
幸弘だった。

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