大宮課長は今日もいじわる

「大丈夫です…
なんかスッキリしたので」

吐き気の方は
本当に大丈夫そうだ。
さっきのコンビニでの処理が
効いてるみたい。

「おいおい、俺はさすがに
バスの中までお前を見張れない。
車内でげろげろしたらどーすんだよ」

「しませんって」

「いや、だめだ。
絶対タクシーに乗せる。
出そうになったら止めてもらえ。
ほら、行くぞ」
そう言って大宮課長は
また私の腕を強く掴んだ。

「課長、痛いですって」
「うるせー。
こっちの方が酔いが覚めるだろ」

覚める前に骨折れるって。もう。
だけど、至近距離で
斜め下から見上げる課長の横顔は
なんだかとっても素敵に見えた。
そういえば、こんな近くで
課長の顔を見たことなんてなかったな。
改めて見ると、
この人、本当に整った顔だ。
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