大宮課長は今日もいじわる

タクシーが走り出してから
私は外に目をやった。
もうすぐクリスマスで
街はイルミネーションで
キラキラしている。

いつも何となく背景と化している
イルミネーションだけど、
なんだか今日はいつもより
輝いて見える。

それを眺めながら
さっきの出来事を思い出した。

大宮課長がナンパから助けてくれて、
コンビニに連れていってくれて、
吐いて、
大宮課長が水を買ってくれて、
タクシー代をくれて…

手足も顔も耳も
凍ったように冷たいのに
体の中はぽかぽかしている。

お酒のせい?
いや……?

また、さっきの場面を思い出す。

大宮課長がナンパから助けてくれて、
コンビニに連れていってくれて、
吐いて、
大宮課長が水を買ってくれて、
タクシー代をくれて、
すごく嬉しくって、きゅんとして…

いや、お酒のせいじゃない。
さっきのことを思い出すと、
こんなにドキドキする。


きっと大宮課長が
私に魔法をかけたんだ。

やっぱり課長はいじわるだ。

こんなに大嫌いだったのに…
さっきかけたんだ…
私を虜にする魔法を。






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