大宮課長は今日もいじわる
大宮課長はあの時と同じ怪力で
私の腕を掴んだまま、
廊下に出て、非常階段の踊り場まで、
連れてくると、
壁に私を投げつけた。
「痛っ」
小さな乙女が痛がっているというのに
気にもせず、
壁を背にして立つ私の前で
仁王立ちする大宮課長。
「ご、ご立腹のようで…」
あまりに恐ろしい顔だったので、
機嫌を取ろうと私が最初に切り出した。
「お前、何でバラすんだよ」
大宮課長がすごい剣幕で私をにらむ。
「?!な、何のことでしょう…」
「お前だろ、俺に彼女がいるっつったのは」
課長の顔は今にも怒鳴り始めそうだったが、
声は小声だった。
「はい?」
一瞬考えた。
え?私誰かに話したっけ…?
「俺が釘を刺しておかなかったのもわりーが、
言ったらこうなるって
普通分かるだろ」