大宮課長は今日もいじわる

「こォうら、川崎ぃ!業務中に飲酒すんじゃねー!」
「大宮課長!いつの間に!
来客中のはずじゃ…」
私はそう言って、慌ててパソコンに向き直る。
「お前らがぺちゃくちゃ喋ってる電波を
キャッチしたんだよ。
他の営業が出てるからって、
始まって二時間で息抜きすんな」
課長は両手をポケットに突っ込み、
右足で自分のキャスター付きチェアを
転がすとどさっと座った。
「おい、川崎、聞こえねーのか?
朝から酒飲んでんじゃねーよ」

川崎さん、お酒なんて飲んでないけど…
川崎さんの方を見ると、何か嫌いな物を
食べてしまったかのように、目を見開いて私を凝視した。
「これ…」
「ウイスキーボンボンだろーが」
「何か出てきたー!」
川崎さんが慌てる。
「何ですかっ?!ボンボン爆発するチョコレート?!」
「バカか南。チョコレートの中にウイスキーが入ってんだよ」

と、午前10時から川崎さんのフランス人のお義父さんが
送ってきたチョコレートで騒がしくしていると
通りすがった村山さんが、私達の横で足を止めた。
「あら南さん、昨日そこのバーにいたわね」
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