大宮課長は今日もいじわる
確か村山さんは昨日出社してたよね。
大宮ガールズではないのかな?
時々課長に気がありそうに見えたけど。
どっちにしろ彼女は失恋ごときで休まないだろう。
というか、LINEグループに入っていなさそうだ。
「入店して数10分でべろべろになってたじゃない。
ふふふ。やっぱりみっともないわね、あなた」
「村山さん、あの店にいたんですか?」
「ええ」
「月曜日からバーで飲んでるんですか?」
「あなただって、月曜日にバーにいたじゃない」
「私は昨日、たまたまです」
村山さんは、そうね、あなたみたいなお子様が
習慣的にバーに行くわけないわねと
嫌味っぽく、くすりと笑った。
「大宮課長、
あの後、どうされたんです?」
村山さんはそう言って大宮課長の方を向いた。
川崎さんはチョコレートの包み紙を丸め、
立っている村山さんの背中にぽいっと投げつけた。
ごみくずは村山さんの背中でバウンドして、そばのごみ箱に
みごとに吸い込まれた。
村山さんは気づいていなかったが、
私は川崎さんに口パクで『ナイスです』と言った。
「ああ、タクシーで帰らせた」
大宮課長は腕を組んでそう言った。