大宮課長は今日もいじわる
「そうではなくて…」
村山さんは何か言いたそうに口を開きかけたが
課長がすかさず咳払いした。
そして村山さんに自分のデスクへ戻るように言った。
なんだろう…。
実は昨日の夜の記憶は、
大宮課長に連れて行ってもらったバーで
お酒を2杯飲んだところで途切れている。
ただ、本当に夢みたいだった。
牛丼を食べて、そのまま帰ると思いきや、
課長が言ったのだ。
「いい機会だ!お前を鍛えてやる」と。
何のことかと思えば、
去年の忘年会で、2、3杯のチューハイで
げろげろになった私に、
課長が「俺が鍛えてやる」と言った、あの件だった。
私は行くのを渋った。
課長と二人でバーは嬉しい。
だけど、月曜日。
それに、一番の理由は真希ちゃんだ。
牛丼ぐらいはいいとしても、
友達が自分の彼氏と二人でバーで飲んでると知ったら
さすがに心配するかもしれない。
私が真希ちゃんなら、そういうことはやめて欲しい。
なのに課長はわざわざ
真希ちゃんに許可を取った、と言って、
私をバーに連れて行った。