大宮課長は今日もいじわる

「どうも、お邪魔します。大宮と申します」
大宮課長…かっこいいなあ。
なぜレジ袋を両手に下げ、
部屋に入ってきただけなのに
こんなにもかっこいいと思ってしまうのか!
と、彼を前にし、完全に置いてきぼりにされた
事情聴取のことが頭からすっ飛んだ。
「あー、リリーをいじめるボスな?」
「そうそう、ルイ。もっと言って」
「大宮さん。初めまして、竹田です」
「あ、どうも。リリーって誰ですか?」
「俺の奥さんだよ、おーみや!」
大宮課長が、ちらりと横目でルイさんを見た。
眉間にしわをよせている。
「そう言えば川崎さんって下の名前、莉々でしたよね?」
「そうなの、ゆずちゃん。
なぜかりーって伸ばすんだよね」
「おーみや、今日はリリーとみかんをいじめないで」
「みかん?」
大宮課長がまた眉間にしわをよせて、ルイさんを見る。
「だから、ゆずちゃんだってば!」
そう言って、川崎さんは課長から私が買ってきた物を受け取り、
私と課長に礼を言うと、キッチンへ持っていった。
「はっ!お前、みかんって認識されてんの?
ぎゃっはっはっ!」
大宮課長が私を指差してゲラゲラ笑う。
ルイさんが覚えられないのなら、
みかんでもいいんだけど、
そんな、バカにした笑い方しなくてもいいじゃない。

< 90 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop