不埒な先生のいびつな溺愛 〜センシティブ・ラヴァーズ〜
「お姉さん、久遠先生の新しい彼女?」

おそらく私より若いこの女性は、不躾にそう尋ねてきた。
早くどっか行きなさいよ、先生同様にそう思っていた私は、特に敵意を隠すことなく対応する。

「先生と仕事の話をしに来ているんです。ここにいられると少し困るんですが、外してもらえますか?」

「ふうん、じゃあ出版社の人?……本当に、仕事だけ〜?」

面倒だな、粘ってくる。
久遠くんは「いい加減にしろよ!」と口を挟むが、この子の目的はもう彼のご機嫌を取ることではなく、私を言い負かすことに変わっているから、無意味だ。

正直に言えば、今、私は冷静じゃない。

彼女である私を差し置いた美男美女のツーショットが目の前にあり、圧倒されている。

それでも冷静を装っていられるのは、私は久遠くんの十二年の片思いの相手で今の彼女だということ、この人の礼儀がなってないこと、私は仕事の相手でもあるということなど、いくつか勝っているポイントがあったからである。
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