不埒な先生のいびつな溺愛 〜センシティブ・ラヴァーズ〜
「ま。お姉さん、先生の彼女にしては地味ですもんね。とにかく、先生、ずっと連絡しなくてごめんなさい! 彼氏と別れたから、また先生に慰めてほしいな〜って。ね?」

ピキン、と私の仮面にヒビが走った。それと同じタイミングで、なんと久遠くんはこの女のセーターの襟を掴み上げようと手を伸ばしたのだ。

「ちょっと、久遠くん!」

ヤバい……!
彼の鬼のような形相を見て、私は咄嗟にその腕を止めた。私が掴んだ衝撃で彼はすぐに動きを止めたが、対面している女は震え出し、みるみるうちに顔が歪んでいく。

「酷いっ!今、乱暴しようとしたでしょ!最低!」

騒ぎ立てる女の涙に、周囲のテーブルがざわめき出した。

やっぱり……。何度も席を外せと言われたのに無視をしていた自分の落ち度は棚に上げ、久遠くんばかりを陥れる。こういう女のやりそうなことだ。

彼は私に腕を捕らえられながら、下を向いていた。許せない。久遠くんを傷つけないで。

女の頬をひっぱたいてやろうかと思ったが、仕事着の私は冷静に言った。

「何もしてない。あなたが先に失礼なことをしたのよ。私たちは今は仕事なの。あなたに構っている暇はないから、未練があるからってみっともなく騒ぎ立てないで」
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