不埒な先生のいびつな溺愛 〜センシティブ・ラヴァーズ〜

彼はしばらくそのまま、私を見つめていた。多分、キスをしても大丈夫だったと思う。

こんな場所で、しない、しないぞ……と自分に言い聞かせながら、私は対面の席へと戻った。

とは言っても、これは危ない。彼の女性関係について、私は全く気にしていないということを理解してもらわないと、次もまたこういうことが起こらないとも限らない。
せっかく作家として開花した久遠くんがこんなつまらないことでトラブルに巻き込まれたりしたら……。

「久遠くん。次またこういうことがあったら、私のことは心配しなくていいからね。何言われても気にしないし。言葉で追い払ってくれたらそれでいいから。というか、私は自分で追い払えるし」

気にしない、という嘘を軽くついて、彼を安心させるために笑顔を向けた。しかし久遠くんは考え込んだままだった。