不埒な先生のいびつな溺愛 〜センシティブ・ラヴァーズ〜
「……秋原さんは、その後。ロマンチックな作家さんと上手くいっていますか?」

彼は以前相談した話を覚えていた。
記憶力の良い人だ。

それに、私はロマンチックな想い人が作家であるとまではカミングアウトしていない。たしかパーティー会場で久遠くんを一度目にしているから、彼はそこで感じ取ったのだろう。

「……いえ、なんと言うか……順調は順調です。大丈夫です」

この件を伏見さんに詳しく話すつもりはない、私のそんな意志がちゃんと彼に伝わったようで、彼はふわりと笑って今度は編集長が元気かという話に変えてくれた。

ふと、思った。
伏見さんは私に欲情したことがあるだろうか。

そんなこと、思うことすら許されないのだから、聞くことはもっと許されない。
さすがの伏見さんでも困惑するだろう。だから何も聞きはしないが、私はこの気持ちが膨らんで爆発すると、それが浮気や不倫のきっかけになるのだろう、と無意味に気づいた。

久遠くんという恋人がありながら浮気をすることなど、絶対にない。そもそも私は彼以外には何も求めていない。
でも、世の中の女性はこういう気持ちで浮気をするのか、と痛いくらいに理解できた。
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