不埒な先生のいびつな溺愛 〜センシティブ・ラヴァーズ〜
ポタポタと地面に落ちる雨粒が大きくなり、私は慌てて目をキョロキョロさせると、伏見さんが小さな荷物から折り畳み傘を取り出した。

「雨ですね。とりあえず入ってください」

雨宿りのために書店に戻るのは、少し気が引けた。彼もそれは同じだったようで、戻ろうとしない私に合わせ、そのまま歩き出した。

「駅まで送りますよ」

それが当然だ、とでもいうような彼の表情に、私も頷いていた。端から見れば相合い傘。伏見さんは誰が見ても素敵な男性だが、系統は私と似ているところがあり、久遠くんの隣にいるよりも違和感がないかもしれない。

「すみません。お願いします」

胸騒ぎがした。こんなことが続いていて、久遠くんに違和感を感じ始めたら、私たちの関係はどうなってしまうんだろう。

女として愛してもらわないと、私はいつか彼を裏切ってしまうのではないだろうか。
この相合い傘は、そのきっかけなんじゃないか、と。
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