不埒な先生のいびつな溺愛 〜センシティブ・ラヴァーズ〜
報告のために出しただけで、実は私は、久遠くんに代わってこの話をすでに半分断ってある。
まともに喋れない彼にトークショーの依頼をしてくるなんて、どうかしていると思う。
だいたい、彼はお父さんが亡くなって四十九日をどうにか終えたばかりなのだ。そんな彼にトークショーに出ろだなんて、事情を知らない書店はともかく、話題性を逃したくないと飛び付いた企画部の我儘だ。
私の久遠くんは繊細なのだから、傷付けないでほしい。
「……嫌だ。俺には無理だ。断れねえのか」
「ふふ、大丈夫。断るよ」
予想どおりの反応に満足し、私は依頼書を折り畳んで片付けた。これでこの件は終わり。
バッグに仕舞おうとすると、突然、その手首を彼が掴んできた。
「待て」
ソファがギシリと揺れる。私と目を合わせる彼は、たまに見せる切ない瞳をしていた。
まともに喋れない彼にトークショーの依頼をしてくるなんて、どうかしていると思う。
だいたい、彼はお父さんが亡くなって四十九日をどうにか終えたばかりなのだ。そんな彼にトークショーに出ろだなんて、事情を知らない書店はともかく、話題性を逃したくないと飛び付いた企画部の我儘だ。
私の久遠くんは繊細なのだから、傷付けないでほしい。
「……嫌だ。俺には無理だ。断れねえのか」
「ふふ、大丈夫。断るよ」
予想どおりの反応に満足し、私は依頼書を折り畳んで片付けた。これでこの件は終わり。
バッグに仕舞おうとすると、突然、その手首を彼が掴んできた。
「待て」
ソファがギシリと揺れる。私と目を合わせる彼は、たまに見せる切ない瞳をしていた。