不埒な先生のいびつな溺愛 〜センシティブ・ラヴァーズ〜
「私が伏見さんといたからショックだったの?」

さらに距離を詰めて、彼の髪に手を差し入れる。

「う、うるせえよっ……そりゃ、嫌だろっ……」

柔らかく撫でて、たまに耳に触れる。彼は、私にこうされることに弱い。強がっても、この手を弾き返せないらしい。

「……久遠くんはさ、この間の女の人と。どんなお付き合いしてたの?」

「はっ?」

「この間の人じゃなくてもいいや。今までの恋人と」

家に乗り込んで大人しくなった彼を前に、私はチャンスとばかりに問い詰めた。
彼は答えたくないだろう。今までの人、というのは彼の嫌いなワードのひとつだ。多分、今までの人自体も嫌いだということ。

「覚えてねぇよっ、そんなん……」

今日の私はこれでは諦めない。私が抱えている不安を少しでも和らげる義務は、久遠くんにもある。
あなたは私の恋人でしょう?
< 30 / 61 >

この作品をシェア

pagetop