不埒な先生のいびつな溺愛 〜センシティブ・ラヴァーズ〜
いたずらに耐える夜

シャワーから戻った久遠くんからは、いつもの石鹸の香りが漂っていた。今は私も同じ匂いに包まれている。

まだ時間は早い。夕方の七時前だ。しかし泣きつかれたからか、眠くて仕方なかった。

ベッドの中で丸まったまま、目を閉じていた。

「……美和子。寝てるのか」

返事はしなかった。このまま眠りたい。一時間くらい仮眠をとってから、彼に夕食を作ろう。

ギシッとベッドが揺れる。私は壁際に寄っていたから、下にいた久遠くんもベッドに上がったのだろう。
同じベッドに入るのに、彼はいつまでも手を出してくれない。

いつもこうして待っていた。背後にいる彼の気配を感じて、じわじわと背中が熱くなるのに、そこに手は伸ばされない。
私が痺れを切らして振り向いて、キスをしてから、やっと夜が始まるのである。

でも、今日は無理だ。キスを嫌いだと宣言された今は、とてもそんなことできそうにない。
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