不埒な先生のいびつな溺愛 〜センシティブ・ラヴァーズ〜
「鍵開けてよ。久遠くん」

「………無理だ」

籠城する気だ。これは持久戦かな。
こんなことしても意味ないのに、こういうときの彼は本当に子どもみたいだ。

彼は私に手を出さず、キスもしなかった。それでも寝ている間は手を出して、自分ひとりで欲望を発散させていた。何か理由があるはずだ。
久遠くんのねじれ曲がった行動にはいつもちゃんと意味がある、そのことを忘れていた。それを聞いてあげないと、いつまでもふたりの問題は解決しない。

「……大丈夫。大好きだよ。どんなことをしても、久遠くんのことが世界で一番好き。……今は鍵を開けてくれればそれでいいから。言うとおりにして。ね?」

畳み掛けるように言い聞かせると、しばらくして、カチャン、と鍵だけが開いた音がした。
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