不埒な先生のいびつな溺愛 〜センシティブ・ラヴァーズ〜
ここでキスをしてあげて、彼の股間に手を伸ばすのは簡単だ。彼が拒否したことはない。私からきっかけとなるアクションさえ起こせば、後は勝手に進んでいくのだ。

しかし、私にも女としてのプライドがある。そう何度も、こちらから迫らなければ何も起こらないのでは納得いかない。
だから最近は、ここでやめることにしている。

「お皿片付けるね」

受け身の彼をソファーに放置して、私はフォークの乗ったお皿をカチャカチャ鳴らしながらキッチンへ引っ込んだ。
お皿とともに冷たい水に手を浸すと、正気に戻っていく気がした。

……なんで何もしてこないの?
正直、私は不満である。毎回私ばっかり。少し疲れた。

またあの日みたいに、無我夢中で求められたいのに。

『待てるかよ。もう何年待ったと思ってんだ』
『今からじゃ何が駄目なんだよ』
『そうやってまた煽りやがって、知らねえぞ俺はっ……!』

ああ……。
あの日のこと。思い出しては胸がドクドクと鳴り出して、あのときの久遠くんに何度も溺れそうになる。

またあんなふうに、私を抱いて欲しい……。
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