私と彼の攻防記録
─────ついにこの時がきた。
今日は新作発表の日。私の考案した商品が選ばれるか、非常に楽しみにしている。
「ーーー。」
パチパチパチ。
次の次で私の番だ。緊張する。
バッとスクリーンに詳細が写しだされる。
えっ、
な、何で??私と同じ商品名に、内容も何から何まで全く同じ。
「ーーという点で、お客様のニーズに合った商品となっております。」
どっどっどっと心臓がうるさい。
思考の止まった頭では、考えることもできなくて、拍手が鳴りやんだことにも気づかなかった。
「ーーさん?小林さん?次、どうぞ??」
「……。」
ど、どうしよう。今更別の案なんて無理。頭の中は真っ白。
向かい側に立つ、発表を終えた人がふっと笑ったのを、私は見てしまった。
ずっと考えてきたのに、こんな簡単に奪われるなんて。涙が溢れそう。
「小林さん??」
いつまでも何も言わない私に、場内がざわざわと騒ぎ出す。
どうしよう……。