私と彼の攻防記録


き、きてしまった、この日が……。


ど、どうしよう。お洒落な服なんて、持ってないよ~!! 金曜日の夜、ずっと不審者みたいにデパート中を探してたけど、何も買えなかった。しかも、悩みに悩んで、結局、眠れなかった。

ピンポーン

「はーい!」

誰だこんな朝早くから!!


「ひっ」
インターホンを押した人物を見て驚愕する。
「お姉ちゃ~ん!開けて~!!」

バンバンバン
猛烈な勢いで扉を叩く。割れる、割れるってば!!

「はいはい、開けるから、待ってよぉ~!!」

ガチャッ

入ってきた途端、ニヤッとする我が妹。

甦る悪夢。

「お姉ちゃん、」
「な、何??」

「今日、デートするんでしょ?」

きゃあああああっっ!

「ど、どどどど、どうして、それを??」

「はっはーん、読んだ通りだ。だと思った。」

「怖い、怖いよ。何で知ってるの??」

「お姉ちゃんのことなら、な~んでも、知ってるよ!フッフッフ、今頃困っているだろうから、さあ!これを着て!!着るんだ!」

「いやだ!怖い怖い、誰か助けて~~!!」



ぐいぐい押されて、有無を言わさず着替えさせられる。
「ねえ、これ着るの?スカート短くない?」「何言ってんのよ。今時これぐらい当たり前よ。これでも大分長くしたほうだから!」「えー、無理だよ、こんな短いの!」「そんなに嫌なら、もっと短いの持ってくるけど!?」「え、いや、いい。大丈夫。これ着るね!」「さすが、よくわかってるじゃない!最初から着ればいいのよ!最初から!」


─────「う~ん!かっわいい!さすが私の見立ては合ってた!」

鏡の前に立たせられ、化粧までされる。え、いや、自分でできるよ?なんて言ったら、黙っといて!なんて返ってきたから、おとなしく黙っていることにする。


「よぉぉ~し、できたぁー!!我ながら完璧!さあ、見てみて!」
「……ッ」

息を飲んだ。短いフレアのスカートに、花柄のブラウス。髪は編み込みされていて、綺麗な花のピンで飾られている。
「ねえ、可愛いでしょ?」

「……うん、ありがとう。」

「やだ~、お姉ちゃんが素直だと、なんか怖い~!!」

「なっ、失礼ね!!」

「私だってお礼ぐらいできるわよ!」

「どうだか、まあ、頑張っておいで。」

「うん。」

その言葉に背中を押され、待ち合わせ場所に。







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