隣席 ー君と一瞬と蟠りー

そんな時、
「ちょ、…あの二人見て、まじ面白い…」
クラスメイトの誰かが言う。私とそのほかの人たちもその人のさす指先の方を見ると、
「湯下と穂村君の動きめっちゃ揃ってる!」
後ろの奏音の声が聞こえた。まさにその通り、隣同士のその二人は寝ていてバスが揺れる度に傾く方向が一緒でシンクロしていた。
「ホントだ〜、ウケるー」私がそう言うと皆がどっと爆笑した。周りで寝ていた人も、何事か、と事情聴取しては笑った。鈴松先生もクッ、と音を出して苦笑した。
そんな五月蝿い雰囲気の中でも起きないとか笑えるわ〜、と誰かがまたも言うとさらに笑いが起こった。
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