隣席 ー君と一瞬と蟠りー

宿に向かう私たちの一中のバスはまもなく高速道路のサービスエリアに停車した。
そこのサービスエリアは展望台のようなものがついていて、私たち優子、美玲、心波、愛乃の五人はトイレ休憩を終えるとすぐさまそこに向かった。
「ここのエスカレーターで誰が一番早く屋上階まで行けるか競争しよー」
心波が仕切るように言った。
本当はしてはいけないのを承知しつつもダメなんて言うと厄介なことが起こりそうだったので、オッケー、と言ってしまった。まあそんな事は別にいいのだが。
「よーい、スタート!」
彼女の声に続いて皆は全速力でエスカレーターを駆け上る。
途中誰かが転びそうになると、アハハー、と心波が言う。それでも皆は笑いをこらえて走る。うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ…、と声を出しながら。
心波が一番、その後に続いて他の4人がゴールする。
「よっしゃ勝ったぁー!」
『うわぁ負けたぁー…』
言出屁の心波が喜んで、私たちは苦笑いをしながら言った。
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