隣席 ー君と一瞬と蟠りー

そんな皆の優しさを半信半疑している臨海学校の3日目。
遠泳も漸く終わって万歳、という気分になった。今は夕食を終え、私と心波、美玲に優子に愛乃の五人で部屋に帰ろうとしている。
「やーっと遠泳終わったー!」
入浴時に使って今は肩にかけているタオルを掴みながら心波は言った。
「あ、心波の好きな森くんがいるよ〜」
優子がすぐそばの階段を指差して言った。冗談かな、と思ったが見ると本当に森がその友達と一緒に階段を上っていた。
ちょっ…声大きい優子、という心波の声をかき消すように、
『ホントだ〜』私と美玲が同時に言った。
ほらほら〜、と美玲は心波を森の方にグイグイ押しつける、つられて私と優子、愛乃も押した。ニヤつきながら。
こうやって私たちが心波を森に近づけるのは日頃の学校生活の中でも行なっていたし、心波だって慣れてるだろう。
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