隣席 ー君と一瞬と蟠りー

瞬間。
グッ…。

「………!!」
彼女の右手の拳が私の胃のあたりに直撃してきた。
腹パンと呼ばれるものだ、これまで心波に何回かやられてきたからなんとなく分かる。
「あたしの気持ち、これでわかったでしょ」
は…?なんのこと?
続けて彼女は言う。
「なんで私を森に近づけたの?」
あぁ、それか。それは美玲とかがやってたからだけど。
という言葉を呑み込んで私は俯いたまま、無言になった。
彼女は、ねぇ、ねぇ、と私に纏わりつき言ってくる。
やばい、これは何か言ったらまた何かされそうだ。
私は察するとさらに黙り込んだ。それ以外方法はない。
心波は、何も言わない私に対して、はあ、とため息をつくと、
「言っとくと、優子たちはあの後謝ってきたからね。んで、柚奈だけが何も言ってないから、私が今こうやって腹パンしたの。まあ、謝ったら許すけど、じゃー」
と言い、私を置いて、部屋に戻っていった。
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