隣席 ー君と一瞬と蟠りー

「そういう柚奈のこと、私は好きだよ?」

言われた瞬間、またしても涙が溢れる。
「有り難う、由美。私、もう戻ってダンス確認するね。本当にありがとう」
私はそう言うと、頬を伝う液を拭い、目を見開いた。
由美は、いえいえ、じゃあそうしようか、と言って、定位置に戻った。
慰めてもらうのは私は好きではなかった。
大嫌いだった。
綺麗事ばかり言われるのが好みじゃないから。
でも、違うのだ。
綺麗事でも、それで救われたり、心が晴れたりする。
私は今日今ここで、そういう事を身をもって知ることができた。

7月からの皆の様子と、今の様子。
わざと創り上げているのか、自然なのか。
よく分からなかった。でも、そんな過去のことはどうでもいい。
今を楽しむ。それが、集団生活で求められていることだと、私は実感した。
そしてやがてお楽しみ会の本番がやってきた。
この経験を胸に、気持ちを込めて、踊った。
皆で、一致団結して。
そして結果は、というと。体育の先生の中での優秀賞をいただいた。
柚奈ありがとう、なんて由美は言った。ありがとうはそっちでしょー、とは思ったけど。
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