隣席 ー君と一瞬と蟠りー
「桜野行きてえええぇぇぇ!」
私の目標校である桜野高校なのであろう、反射神経を通って言葉が変換されて脳に聞こえてくる。
桜野行きてー。
さくらのいきてー。
さくらの…。
「え?」
私の声と同時にチャイムがなり言葉はかき消され、奴に詳細を聞けなかった。
号令をすぐ済ませると、着席と同時に、
「ゆ、湯下、桜野ってまさか、桜野高校のこと?」
と、私は訊いた。
「勿論」
帰ってきたのはやっぱり、言うまでもなく、という言葉だった。
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