隣席 ー君と一瞬と蟠りー
「はい、湯下」
紙を回す。
「おう…って、は?カラオケ!?」
「湯下お前声でけぇよ!別にいいでしょ、カラオケでも!」
私は奴の声を必死に抑えながら、睨んだ。
「えー、でも俺禁止かかってるし…無理だわ」
「うわー…じゃあ、どーしよ。無難に買い物でもどう?」
「そしたら俺ら暇になるぞ、なぁ湯下」森も話に割って入ってくる。
「そうだな」
花愛は、半分諦めたように、
「結局行くとこないよねー…」
と言った。

これ以降、4人で出かけることについての話はなくなった。
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