隣席 ー君と一瞬と蟠りー
「…ここは、小田桐君と、水上さんね」
まさかと思った。
私が、水上柚奈が、小田桐京助の、隣。
____隣席。
早く席を移動したい、と思った途端、
「水上、小田桐の隣だってさー、良かったな!」
湯下がにやにやしながら、余計な一言を言ってきた。
「うん、知ってるけど、朝も言ったでしょ?べつに好きとか思ってないって。おまけに、そんなに嬉しいと思ってないから」
嘘を言った。本当は嬉しい。
「へっ、へぇ〜。ていうかやっと水上と離れられるわー、嬉し」
奴はそう言ってきた。