隣席 ー君と一瞬と蟠りー
正直“酷くね?”と言った割には実際は何か嬉しいと思っている。それこそ、先程、森が言っていたように、好きな人の椅子に座りたいということは強ち間違っていないのだ。
小田桐が隣の席だというのを知ってから、彼への好意が増した。
気になる、という段階から、好きという感情に変わったのである。
私はこの時、恋を知った。
恋とは感情を言い表すことのできないくらいに、好きな人につい熱中してしまうことなのだろう。私はそう確信する。