隣席 ー君と一瞬と蟠りー
体育の授業。この日は運動会前日ということもあり、クラス毎に円陣を組んだ。
____運動会、優勝しよう。一組…青組のみんな、40人で、初めてのいい思い出を作り上げよう。
実行委員の子に続いて、皆で、
『優勝するぞー、おーーーー!!』
と、声を枯らすように叫んだ。
雲ひとつない、晴天。明日もこうでありますように。
上を見上げて、そう思う。
手に持った青い鉢巻をポケットに閉まって、仲良しグループの方に向かった。
「私、森と鉢巻交換しようかな〜」
心波が満面の笑みで言った。
やってますね〜、ひゅー、ひゅー、と周りの友達が言う。
好きな人と鉢巻交換、なんて出来るわけない。出来るもんなら、やってみたい。小田桐と。
しかし、“モノ”で思い出を残す事より、“キオク”で残す方が一番だと考える。