隣席 ー君と一瞬と蟠りー

しばらくして、開会式が始まった。校長の長ったらしい話を流し聞きし、特に深い思いをせず式は終わった。
立っているだけでかなりの体力を使う。観客シートに座り、水筒の中身を飲む。
「はああ〜〜…」
他学年の競技を見ながら、私たち一年は寛ぐ。
その時、彼方此方で一年生はリレーがあるので待機場所に移動してくださいー、と指示が出た。こんなにゆったりしている時に、私にとって大の苦手であるリレーがそろそろ始まるとは。と思った瞬間、
「リレーだりー、早く一位とって終えてえよー」
優子ちゃんの声が聞こえてきた。
「それなー、絶対足引っ張るわー。許してな」私は同情した。
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