隣席 ー君と一瞬と蟠りー
『次は、第一学年による、全員リレーです…』
アナウンスがグラウンド中に響き渡る。
私のクラスのトップバッターは、運動会の実行委員の男子だ。彼奴なら足も速いしリードできるよね、と皆はいう。
ピストルを打つ準備が始まった。私は、やべえ、緊張してきたー、と呟いた。足がクラス1遅いのは知っている。緊張するのはみんな一緒だろう、と確信した。
____用意。スタート。
パン、と言う音と同時に一斉にトップバッターが走り出す。
ワアア、と声援が起こる。私はただ茫然としている。
気がつくと、私のクラスの青いバトンが身長の高い男子に渡される。
あれは、小田桐だ。