隣席 ー君と一瞬と蟠りー

____柚奈、前。
誰かがそう言って、気が戻る。前にはもう、結萌はいない。ということは私の番がまわってきたのだろう。慌てて、レーンに出る。緊張が身体中に走った。
私の前に走る男子が近づいてくる。助走を早め、バトンを右手で後ろから受け取る。
全力で、前に進む。地面のコブで、躓きそうになる。それでも前進する。鼓動は激しい。ハァハァ、と息を荒げながら腕を振る。
そして、次の人にバトンを渡し、私の番は終わった。
あとはみんなの走りを応援するだけ、と一安心した。
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