クリスマスが終わっても
少し前にある、ジュエリーショップから出てきた男女ふたりを見て、勝手に足がブレーキをかけた。

「ひろ君・・・」

ジュエリーショップから出てきたのは、ひろ君。そして、その隣にはーーーニコニコしている白石さんがいた。

ひろ君の手には、ジュエリーショップの名前が入った小さな袋。
ひろ君も、口元が少し笑っているのが見えた。

なんで、ふたりで一緒にジュエリーショップから出てくるの?

ふたりはそのまま、私の方、つまり会社へと向かって並んで歩いてくる。

ここにいちゃいけない。

なぜだか、咄嗟に路地へ逃げ込んで隠れてしまった。

聞きたくないのに、でも聞きたい気持ちもある会話。
その内容が、他にもたくさんの人がいる中、ふたりが路地を通り過ぎる際に聞き取れてしまう。
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