クリスマスが終わっても
私はその場から動けなくなって。
その後、どうやって家に帰ったのか、記憶がない。

覚えているのは、並んで歩くひろ君と白石さんの姿と・・・家に帰った後で、見るつもりはなかったのに、偶然に見えてしまったひろ君の携帯の画面。

自分から、見てみようかな!なんて思っていた時もあったのに、怖くて見れなくなったひろ君の携帯。

あの日、ひろ君はいつも通りの時間に家に帰ってきた。
いつも通りふたりでご飯を食べて、並んでソファーに座っていた時。机に置いてあった携帯の、着信があった事を知らせるプレビュー画面が点灯した時、見えてしまったのだ。

『楽しみにしてる!』のメッセージ。

ひろ君はそれを見て、少し口元が緩んでいた。

ねぇ、何が楽しみなの?
なんでふたりでジュエリーショップにいたの?
なんで? なんで?

聞きたいけど、怖くて聞けない。
ただ、嫌な想像やモヤモヤした気持ちが重なっていくーーー。
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