クリスマスが終わっても

「ちょっと、急に止まらないでよ～！」

その声は、この間から頭の中で何度となく聞いてきた白石さんの声だった。

「あ、悪い」

ひろ君が白石さんに道を譲った事で、結花と私が白石さんに対面する事になった。
白石さんも、ひろ君と同じぐらい書類の束を抱えている。
結花も「あ」という顔をして、私の手を引いたまま白石さんに道を譲る。

白石さんが通り過ぎて行くまでが、まるでスローモーションのように感じられる。
私は白石さんを見ていて、白石さんは－－－私を見て、片方の口の端をキュッと上げた。
まるで、勝ち誇ったように見える、笑い方。

私が営業部に入って行く白石さんを見送っていたら、結花はひろ君に挑むような目線を投げ掛けていた。