クリスマスが終わっても
自分でも、思ったより低い声が出てビックリする。
私、こんなに嫌だったんだ。

「そうだよな。俺も、他のヤツが菜々美にそうしてたらいい気しない。というか、嫌だ」

ひろ君は、私の頭にもう一度手を乗せて、髪を撫でてくれた。
その優しい手の動きに、安心する。

「ごめんな。もうさせない」

「うん・・・」

その時、またピンポーンとインターホンの音が鳴った。
今度こそきっと、私がお願いした宅配だろう。

「今度は、ひろ君出て?」

私の言葉に、ひろ君は立ち上がり、玄関へ向かった。
私は手のひらに置いたままの発泡スチロールに包まれた雪だるまに、もう一度触れてみる。

冷たい。
これが雪、なんだ。

指先に触れる雪は確かに冷たいのに、なぜかあたたかく感じる。

よかった。

これが最後じゃなくて、よかったーーー。
< 54 / 84 >

この作品をシェア

pagetop