クリスマスが終わっても
手は俺の胸元に置いたまま、上半身だけをゆっくり起こして、パチパチと瞬きしているのが目が慣れてきた暗闇の中でもわかった。

「ひろ君・・・?」

「ん?」

「服、どうしたの?」

「あ、あー、うん・・・。とりあえず、ここ寒いし。中入ろう」

俺は菜々美の肩に手を置き、回れ右させて前を向かせる。
その間に、カバンとは別に持っていた小さな紙袋から取り出した四角い箱。

小さいけど、ズシリと重いその箱に、また緊張が高まる。

こんな話、したことなかったから。
菜々美はまだ、考えてないかもしれない。

だから、受け入れてもらえるかどうか自信がない。

それでも、伝えたいと思ったんだ。
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