クリスマスが終わっても
「自分の用だけじゃなくて、人の用買ってでも経理部に行きたがるしね。しかも、行く前に必ず、鏡でチェックしてから行くの」

ケラケラと笑いだした白石さん。

「からかうとおもしろいったら!」

な、なんだろう。
なんか私が恥ずかしい。

ひとしきり笑った後、白石さんがフッと優しい顔になった。

「あれ、今年の春ぐらいだったかなぁ。佐藤がさ、一生懸命調べ物してるのよ。何してるのかと思って覗いたら、ものすごく怒られてね」

白石さんが、箸を置いて私の方を向いた。

「あなたにプロポーズするのに、指輪を探してたのよ。春から、つい最近まで。でも、いいのが見つからなくて、苛立ってたみたい」

八つ当たりよね、と白石さんは笑った。
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