悪役令嬢の妹は自称病弱なネガティブクソヒロイン
悩みの種
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「いつものことよ。
バカの相手はやっぱり疲れるわね」
部屋に入るとジークが心配そうに私を見てくる。
彼は本当に心配性だ。
「ミハエル様にも困ったものね。
彼は一体誰の婚約者のつもりなのかしら」
「お嬢様、たとえどのようにことになろうと私どもはお嬢様の味方です」
「あら、ありがとう。其れでは報告をいいかしら」
「はい。まずこちらの資料をご覧ください」
私は執務机に座り、ジークから必要な報告を受ける。
「如何いたしますか?」
「特に問題ないわ。此のまま進めて」
「畏まりました」
ふと外を見るともう日が傾いていた。
お茶会をして仕事をして、明日は学校に行かなくてはいけない。
コトン
ジークがお茶を淹れてくれた。
「ありがとう」
一口飲むと、スーッと紅茶が喉を通り体に浸透するように疲れも一緒に下へ持っていってくれる感じがした。
「だいぶ、お疲れのようですが」
「そうね。最近、眠れなくて」
「睡眠薬か眠りを促すような香を用意しましょうか?」
「そうね。では眠り薬をお願い」
「畏まりました」
◇◇◇
「これが報告書ですわ」
自分の仕事がひと段落したので私は定期報告をしに父の執務室に来ていた。
父は一通り私の報告書に目を通し、口元を綻ばせた。
「さすがだな。
やはりお前は優秀だ」
「ご期待に添えれて何よりですわ」
「お茶会で一悶着あったようだな」
さすが父。
既に耳に入っていたか。
「今日招いた方には後で私の方からお詫びの品をお渡ししますわ。
こちらがその項目と費用です」
私は仕事の合間に用意した書類を父に提出した。
「相変わらず仕事が早いな」
ふと笑って書類に目を通す父
特に問題がなかったようで何も言わずに書類を私に返して来た。
後でジークに用意させよう。
「あれは何も知らないのだろうな。
お前が普段何をしているのかも」
『あれ』というのはグロリアのことだ。
この分では私とグロリアの間に何が起きたのかも耳に入っているのだろう。
「病弱で哀れな妹は何もできませんから」
私は嘲笑を交えて答えた。
「社交界の出席率も悪いそうだな」
「母が体が弱いのだから無理はするなと言っているそうです。
私も今日のお茶会の様子を見る限り、彼女にはそれがいいかと。
まともな挨拶もできない者を出席させるなど家の恥ですわ」
「そうか」
父の口から重い溜息が漏れた。
ご心痛、お察ししますわ、お父様。
幼少の頃、病弱だったグロリアは母に甘やかされて育った為、我が儘に育った。
こちらがいくら注意をしても「私は病弱だから」「私なんかが」と繰り返すばかり。
仕事に打ち込んでいた父が気づいた時には既に遅かった。
「あれにも、そろそろ婚約者を見つけてやらねばな」
「ミハエル様などいかがですか。
随分とグロリアのことを気にしているご様子ですよ」
「あれはお前の婚約者だろうが」
「そうですわね。
でも、どちらでもいいでしょう。
私と結婚してもグロリアと結婚しても。
姉妹なのですから。
お互いの家との絆は結べるかと」
「・・・・お前は彼が嫌いか」
「さぁ、どうでしょうね」
セシルは父すらも読むことのできない顔をして部屋から出て行った。
「早まったかな」
「ミハエル様とセシルお嬢様の婚約ですか」
部屋にはラインネット伯爵家の執事長であるヴァンが居た。
「ああ。あれには色々と苦労をかけるから幸せになって欲しいと願ってはいるのだが」
セシルとセシルの母ルーシアの仲は悪い。
原因はグロリアにある。
今は健康状態が良好で普通の令嬢と同じように過ごせるグロリアだが幼い時には体が弱く1日の殆どをベッドの上で過ごしていた。
それが哀れで仕方がなかったのだろう。
ルーシアはセシルがグロリアの幸せを全て奪っていったと思ってしまった。
どうして双子なのに片方は元気で片方はこんなに哀れなのだろう。
その思いは今でも根深くルーシアの仲に蔓延り、グロリア自身、自分は病弱だと今でも思っているのだ。
「グロリアの結婚相手の候補を挙げておいてくれ」
「畏まりました」
「いつものことよ。
バカの相手はやっぱり疲れるわね」
部屋に入るとジークが心配そうに私を見てくる。
彼は本当に心配性だ。
「ミハエル様にも困ったものね。
彼は一体誰の婚約者のつもりなのかしら」
「お嬢様、たとえどのようにことになろうと私どもはお嬢様の味方です」
「あら、ありがとう。其れでは報告をいいかしら」
「はい。まずこちらの資料をご覧ください」
私は執務机に座り、ジークから必要な報告を受ける。
「如何いたしますか?」
「特に問題ないわ。此のまま進めて」
「畏まりました」
ふと外を見るともう日が傾いていた。
お茶会をして仕事をして、明日は学校に行かなくてはいけない。
コトン
ジークがお茶を淹れてくれた。
「ありがとう」
一口飲むと、スーッと紅茶が喉を通り体に浸透するように疲れも一緒に下へ持っていってくれる感じがした。
「だいぶ、お疲れのようですが」
「そうね。最近、眠れなくて」
「睡眠薬か眠りを促すような香を用意しましょうか?」
「そうね。では眠り薬をお願い」
「畏まりました」
◇◇◇
「これが報告書ですわ」
自分の仕事がひと段落したので私は定期報告をしに父の執務室に来ていた。
父は一通り私の報告書に目を通し、口元を綻ばせた。
「さすがだな。
やはりお前は優秀だ」
「ご期待に添えれて何よりですわ」
「お茶会で一悶着あったようだな」
さすが父。
既に耳に入っていたか。
「今日招いた方には後で私の方からお詫びの品をお渡ししますわ。
こちらがその項目と費用です」
私は仕事の合間に用意した書類を父に提出した。
「相変わらず仕事が早いな」
ふと笑って書類に目を通す父
特に問題がなかったようで何も言わずに書類を私に返して来た。
後でジークに用意させよう。
「あれは何も知らないのだろうな。
お前が普段何をしているのかも」
『あれ』というのはグロリアのことだ。
この分では私とグロリアの間に何が起きたのかも耳に入っているのだろう。
「病弱で哀れな妹は何もできませんから」
私は嘲笑を交えて答えた。
「社交界の出席率も悪いそうだな」
「母が体が弱いのだから無理はするなと言っているそうです。
私も今日のお茶会の様子を見る限り、彼女にはそれがいいかと。
まともな挨拶もできない者を出席させるなど家の恥ですわ」
「そうか」
父の口から重い溜息が漏れた。
ご心痛、お察ししますわ、お父様。
幼少の頃、病弱だったグロリアは母に甘やかされて育った為、我が儘に育った。
こちらがいくら注意をしても「私は病弱だから」「私なんかが」と繰り返すばかり。
仕事に打ち込んでいた父が気づいた時には既に遅かった。
「あれにも、そろそろ婚約者を見つけてやらねばな」
「ミハエル様などいかがですか。
随分とグロリアのことを気にしているご様子ですよ」
「あれはお前の婚約者だろうが」
「そうですわね。
でも、どちらでもいいでしょう。
私と結婚してもグロリアと結婚しても。
姉妹なのですから。
お互いの家との絆は結べるかと」
「・・・・お前は彼が嫌いか」
「さぁ、どうでしょうね」
セシルは父すらも読むことのできない顔をして部屋から出て行った。
「早まったかな」
「ミハエル様とセシルお嬢様の婚約ですか」
部屋にはラインネット伯爵家の執事長であるヴァンが居た。
「ああ。あれには色々と苦労をかけるから幸せになって欲しいと願ってはいるのだが」
セシルとセシルの母ルーシアの仲は悪い。
原因はグロリアにある。
今は健康状態が良好で普通の令嬢と同じように過ごせるグロリアだが幼い時には体が弱く1日の殆どをベッドの上で過ごしていた。
それが哀れで仕方がなかったのだろう。
ルーシアはセシルがグロリアの幸せを全て奪っていったと思ってしまった。
どうして双子なのに片方は元気で片方はこんなに哀れなのだろう。
その思いは今でも根深くルーシアの仲に蔓延り、グロリア自身、自分は病弱だと今でも思っているのだ。
「グロリアの結婚相手の候補を挙げておいてくれ」
「畏まりました」