私の名前 ~After~


一瞬、驚いた顔をした連夜だったが、私の気持ちを察したのか笑みをこぼした。

「…行こうか。」

私の腰に手を当てて、歩き出した。


エレベーターに乗り、スイートルームに向かう。

「…。」

「…。」

2人とも無言だった。

私に至っては、喋るなんてそんな余裕はない。

バクバクと心臓の音しか聞こえないし、初めてのことに不安しかない。

”チーン”

私たちが泊まるスイートルームの階に到着したことを知らせるベルが鳴った。

「…行こうか。」

連夜はそれだけ言うと静かにエレベーターを降りた。


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