私の名前 ~After~



その時、いきなり資料室のドアが開いた。

「鈴音‼」

…連夜!

いきなり入ってきたのは焦った様子の連夜だった。

「…土屋…お前…」

「連夜、違うの。
何もされてないよ。」

連夜は”本当か?”なんて言いながら私のそばに来て抱きしめた。


「…やっぱり鈴音さんの前だと辻部長は変わるのね。」

「…当たり前だろ。

大切にするって決めたから。
もう悲しい思いはさせたくない。」

さらにギュッと抱きしめられる。

連夜の心臓がドキドキとすごい速さで動いていて、心配して急いで探してくれたことが分かった。


「…辻部長、すみませんでした。
鈴音さん、悲しませないでくださいね。」

「…当たり前だろ。

……土屋はもっと自分らしくていいと思う。
俺よりも土屋に合ったやつがきっといるよ。」

土屋さんは一瞬驚いた表情をしたが、呆れたように笑った。

「…辻部長は本当におせっかいですね。
…これからも同期としてはよろしくお願いします。」

土屋さんはそう言うと静かに資料室を出て行った。


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