雪の光
計算したようなタイミングでこんなことが書かれている。
もしかしたら、彗は自分がもうすぐ死ぬとでも予感していたのだろうか。
それとも、誰かに殺されることを覚悟して生きていたのだろうか。
床にぱたぱたと水が落ちる。
「……っ……」
もうこれ以上考えられなかった。
ごまかせなかった。
涙が次から次へと頬を伝って落ちてくる。
「……っ……彗っ……!」
私は気付いていないだけで彗をすごく大切に考えていた。
彗も同じで、気付いていないだけで本当は大事にしていた。
……大事にされていたんだ……。
「……ありがとうっ……」
生きている間にもっと言えたら良かったのに。
生きている間に笑えたら良かったのに。
生きている間に思いを知ってあげられたら良かったのに。
生きている間に「大事だよ」と言えたら良かったのに。
生きている間に好きだと知ることが出来たら良かったのに。
生きている間に。