雪の光
「分かるよ!
私だって、つらい。
同じように、彗を大事に思っていたから」
「あんたなんかになにが分かるの!
あんたに理解できるほど彗は単純なやつじゃない!
土下座していれば許されるとでも思ってんの!」
「思ってない!」
「じゃあ顔上げなよ!」
驚いた。反射的に顔を上げる。
何事かと参列者達が見ている。
「あんたこそ、死ねよ!」
胸ぐらを掴む。
着慣れている制服のブラウスが軽く首を圧迫する。
手を大きく振り上げられる。
叩かれる、と思ったけれど、その手はだらりと落ちた。
「……あんたなんか殴る資格もない」
冷たく吐き捨てて会場に入っていった。
私はそれを見送ることしか出来なかった。
通り過ぎていく人の何人かが声を掛けてくれる。
「大丈夫だよ、お葬式出ても」
「茜ちゃん、今つらいから当たっちゃうんだよ」
優しさが痛い。
こんなこと、あるんだ。