雪の光
彗が燃やされている間にご飯を食べた。
耳を澄ましていると、彗の死を惜しむ声がちらほら聞こえる。
「残念だったね」
「でもかっこよかったよ。
茜ちゃんのことを守ったから」
「あいつ、いいやつだよな」
「もっと話したかったよな」
ご飯なんてとても食べられない。
一時期食べられるようになったのに。
窓の外は相変わらず青い空が広がっている。
きっと彗の燃えた煙が空に上がっているのだろう。
火山を連想した。
彗が山で、煙が噴煙。
この部屋から出たい。
茜ちゃんの目が痛い。
見ることを許さないような雰囲気が伝わってくる。
私の隣にいた、よく知らない女の人が「大丈夫?」と声を掛けてくれる。
「大丈夫です」と答えながらも出て行けない。
もし今、ここで部屋を出たら私はこの場所での居場所を失う気がした。
へばりつくことで、かろうじて保っている。