雪の光


彗が燃やされている間にご飯を食べた。


耳を澄ましていると、彗の死を惜しむ声がちらほら聞こえる。


「残念だったね」


「でもかっこよかったよ。

茜ちゃんのことを守ったから」


「あいつ、いいやつだよな」


「もっと話したかったよな」


ご飯なんてとても食べられない。


一時期食べられるようになったのに。


窓の外は相変わらず青い空が広がっている。


きっと彗の燃えた煙が空に上がっているのだろう。


火山を連想した。


彗が山で、煙が噴煙。


この部屋から出たい。


茜ちゃんの目が痛い。


見ることを許さないような雰囲気が伝わってくる。


私の隣にいた、よく知らない女の人が「大丈夫?」と声を掛けてくれる。


「大丈夫です」と答えながらも出て行けない。


もし今、ここで部屋を出たら私はこの場所での居場所を失う気がした。


へばりつくことで、かろうじて保っている。



< 130 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop