雪の光
押し出されるように茜ちゃんの家を出た。
「あんたの事なんか許さない」と、もう何度も聞いた言葉を背中に受けながら。
どうすれば茜ちゃんに許してもらえるか、一生懸けても分かりそうにない。
まだ昼過ぎになったばかりだし勉強することもないから駅の方へ歩いてみる。
桜をモチーフにした店の看板。
春に囲まれた花屋さん。
苺がたくさん並ぶ八百屋さん。
綿菓子のような雑貨店。
素材の薄くなった洋服。
花柄のワンピースの女の人。
どこか浮き足立った空気。
しばらく見ない間に本当に変わった。
歩いていると、ふと思い出す。
彗と見たあの、イルミネーション。
とにかくキラキラしていたことだけは覚えている。
それと、彗の何を考えているか分からない横顔。
会いたい。
どうすれば、会えるだろうか。
姿は求めていない。
ただ、心で逢えたらいい。
それが出来れば十分すぎる。